川沿いに建つ、ランダムにあけられた窓が印象的なI邸は、間口4.5m、奥行き12m、約10坪の狭小住宅。しかしそのコンパクトな外観からは想像できないほど、居住空間はのびやか。スキップフロアのLDKは大容量の床下収納も備えるなど、随所にワザありの住まいなのです。
ムダのない巧みな空間構成で、狭くても開放感を
もとは奥さまが生まれ育った築30余年の木造住宅。川沿いに建つこの家でご主人と息子さんの3人で暮らすことになり、建て替えに踏み切った大きな理由は、河川氾濫時の浸水被害や老朽化による家の傾きといった悩みがあったから。
敷地面積は約17坪、昔ながらの間取りは「台所と離れた居間に料理を運ぶのが大変」、「収納が不十分でモノが片付かない」など使い勝手も悪かったという。そこで新居は河川の増水に備えて基礎を上げるとともに、大胆な間取り変更をすることに。
望んだのは、ダイニングとキッチンをつなぐ広いLDK、たっぷりしまえる収納。快適な寝室と子供部屋、ゆとりある玄関と盛りだくさん。でもどれも必要だった。
インテリアや建築が好きな奥さまは、某有名建物探訪番組で見た建築家の石川さんに家作りを依頼。「スキップフロアのLDKが素敵でした。しかもスキップフロアの段差部分がそのまま床下収納に活かされていて、こんな家にしたい!」と依頼を決意。
I邸では、最大限広くとりたいリビングとダイニングをスキップフロアで2階部分にまとめ、玄関、水回り、個室は1階に集約している。「コンパクトな家なので、吹き抜けなど空間をタテ方向に膨らませることで狭さを感じさせないようにしました」と石川さん。たとえば、4・5畳のリビングは天井高を
3.4mとってタテの開放感を強調。ほかにも、3・5畳の子ども部屋にロフトを設けて空間を上に伸ばしたり、1畳の玄関の天井部分にはポリカーボネイトの透明板をはめて真上のリビングから光を導き吹き抜けのような雰囲気をつくったり。
断面で間取りを見ると、広がりを確保するための工夫が随所にこらされているのがわかる。奥様も最初に図面を見せられたとき、パズルのようにムダなく組み合わされた空間構成に驚かされたとか。
東側の川に向けて眺望を大きく切り取ったダイニングキッチンの”はめごろし窓”も石川さんの提案。対岸の家の庭の花々を借景にして食事を楽しんだり、雨上がりの空にかかる虹を見て親子で歓声をあげることも。「全体的に窓が増え、光や風を前よりもずっと豊かに感じられるようになった」とご夫婦声をそろえるが、まだ息子さんが小さくて家で落ち着いて過ごす時間が十分にとれないのが今の奥様の悩み。大好きなこの家でゆったりと過ごす、これからの贅沢なひとときを夢見ているようだ。
しまいっ放しこそ大問題!出し入れを億劫にしない収納
2階にダイニングキッチン、スキップフロアでつなぐ中2階にリビングを配置。ダイニングキッチンの床下部分を活用して大容量の収納スペースとし、リビングに設けた引き戸でモノが出し入れできる。
収納場所が少なかった建て替え前は個室1部屋を納戸代わりにしていたが、天井付近の荷物はしまったまま。その点、天井高が1.4m弱のこの床下収納ならそうしたムダも生じない。
ほかにも、食器が出し入れしやすい奥行きにこだわったキッチンの造り付け食器棚、動きやすさを考えた寝室のウォークインクロゼットなど、使い勝手のいい収納の数々に奥さまは大満足。
狭いなら、タテに膨らまる! 狭さを解消した術とは?
コンパクトな敷地面積で石川さんが試みたのは、タテの空間を活かした設計。奥さまが「ベッドさえ置ければいい」と考えていた夫婦のベッドルームはわずか4.5畳だが、寝たときの目線の先に吹き抜けを設けているため圧迫感がなくのびやかな印象。
3.5畳の子供部屋もベッドスペースとしてロフトを設け、空間をタテにのばすことで窮屈さを感じさせないようにしている。
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転載元:http://www.klasic.jp/
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